2012年4月13日金曜日

世界の宗教


世界の宗教

1.世界の宗教

宗教分布
キリスト教徒32.8%カトリック 18.5%
プロテスタント 6.4%
ギリシャ(東方)正教 2.8%
その他諸派 5.1%
イスラム教徒16.5%スンニー派 13.9%
シーア派 2.4%
ヒンズー教徒13.3%
仏教徒 6.3%
ユダヤ教徒 0.4%
儒教徒 0.1%
その他(無神論者無宗教者を含む)30.6%
1980年「世界キリスト百科事典」
主なカトリック圏
メキシコ
キューバ
アルゼンチン
ブラジル
オーストリア
ベルギー
チェコスロバキア
フランス
ハンガリー
ポーランド
スペイン
イタリア
ポルトガル
フィリピン
主なプロテスタント圏
カナダ
アメリカ合衆国
北欧諸国
ドイツ
イギリス
スイス
オランダ
南アフリカ共和国
オーストラリア
主なギリシャ正教圏
アルバニア
ブルガリア
ギリシャ
ルーマニア
ユーゴスラビア
キプロス
ロシア
主なイスラム圏
サウジアラビア
イラン
イラク
レバノン
パキスタン
トルコ
インドネシア
マレーシア連邦
リビア
エジプト
アゼルバイジャン
カザフスタン
キルギスタン
タジキスタン
トルクメニスタン
ウズベキスタン
主な仏教圏
日本
ミャンマー
ラオス
タイ
スリランカ
主な儒教・道教圏
中華人民共和国
「世界の宗教と教典・総解説」自由国民社、1991

2.神々と神話の世界

神話とは、現在の世界が完成する以前の太古の時代に起こったと信じられている出来事についての神聖な伝承である。
神話に出てくる世界起源
創造神の意志による創造 旧約聖書「創世記」など
原初の巨人の死からの創造 古代インドの賛歌集「リグ・ヴェーダ」
宇宙卵からの創造 フィンランドの神話的叙事詩「カレワラ」
世界両親による創造 「古事記」イザナギ、イザナミ両神の交わり
進化型 ニュージーランド、マオリ族の神話
海底から持ち帰った泥による創造 シベリアに住むモンゴル系ブリアート族の神話

3.神道と民族宗教

古代から神への祭事は行われていたが、そのための常設の社をもつものは少なかったとされている。神社建築が一般的になったのは七世紀後半のころと考えられている。これらの神社はやがて、律令国家の祭祀の対象となっていった。

天皇家の宗教が神道であるのは、天皇家の先祖はアマテラスに連なるとされており、そのアマテラスを祭ったのが伊勢神宮であるからである。明治政府の神仏分離策により、天皇家の儀式は、それまでは仏教式も存在したが、すべて神道式で行われるようになった。

神道の宗教的特徴

  • 多神教である。
  • 古事記や日本書紀を神典としている。
  • 日本文化を離れては成り立たない民族宗教である。

4.ユダヤの民と戒律

ユダヤ人は、イエス・キリストを殺害した者たちの子孫として、差別と憎悪の対象になった。また20世紀半ば、約六百万人もが殺戮された。
ユダヤ人とは、伝統的定義によると、「ユダヤ人とはユダヤ人の母親から生まれた者もしくはユダヤ教への改宗者である。」

聖書のメッセージより
神はアブラハムを選んで、その子孫が栄えることを約束する。ヤコブ(別名イスラエル)はエジプトへ行く。その異邦の地で迫害され始めたので、神は、モーセを選んでエジプト脱出を敢行し、四十年後に約束の地に入る。ダビデがエルサレムを征服して王国を統一し、ソロモンの代には神殿が築かれる。やがて崩壊し、バビロン捕囚にみまわれる。その後、パレスチナに帰還でき、神殿が再建される。(これがユダヤ人と言われるようになる集団である。)それもやがて、ローマとの戦争に突入し、祖国を放逐される。しかし、彼らは自治社会を形成して存在し続けるのである。
なぜ、ユダヤ人は残ったか。イスラエルの民は、エジプト脱出後、神の山シナイで神と契約を結び、トーラー(十戒を柱と� �る律法)を受容する。神は、「これまでのエジプトの習慣ではなく、またこれから行くカナンの地の習慣でもなく、私の法と裁きに従って歩みなさい」と命じる。そして、彼らは、どこに住もうと、いつの時代にもこれに従った生活を送ることを決めたという。

トーラー
モーセ五書(旧約聖書の創世記から申命記まで)これは、羊皮の巻物に書かれ、布や金属の筒や木箱で覆って装飾を施された。聖なる安息日ごとにこれを集会で朗詠し、人々に読み知らせる。これを一年で読み終えるバビロニアの習慣が、今日では広く行われている。

タルムード
神がシナイ山でモーセに啓示したトーラーには、文字に書かれた教えだけでなく、口頭で伝えられた教えがあったという教えがあり(口伝律法)、この集大成がタルムードである。ミシュナと呼ばれる法典およびそれを巡って行われた註解と問答と論争であるゲマラから成る。

ラビ
トーラーを学び人々に教える役割の担い手である。

安息日


現在のテロの脅威の警告ステータスは何ですか
イスラム教 金曜日 モスク
ユダヤ教 土曜日
(金曜日の日没少し前から土曜日の日没後)
 シナゴーグ
キリスト教 日曜日 教会

シナゴーグ
トーラーを安置し、祈りとトーラーの学習の場、集会所として使われる。

過ぎ越しの祭り
出エジプトを記念し、隷属からの解放を祝う祭りで、春分の後の満月から始まり一週間続く。

世界のユダヤ人人口 1991
USA5,835,000
Israel3,755,000
USSR1,450,000
France600,000
UK330,000
Canada325,000
Argentina228,000
Brazil150,000
South Africa120,000
.....
Japan700
資料提供イスラエル大使館 1989〜94年にかけて、旧ソ連から約50万人がイスラエルへ移住しているので、現在では、数字が変化している。

5.カトリック的救済と近代意識

聖母や聖者をめぐる奇蹟的な出来事が人々の関心を集め、そこに新たな巡礼聖地を生むことは、ヨーロッパ、ラテン・アメリカ、フィリピンなどのカトリック圏全体に当てはまる。
「羊飼い伝説群」と呼ばれる聖母出現の類型によれば、子供もしくは若い羊飼いの娘に聖母が現れ、お告げを与えるとされる。洞窟やバラとともに、病治しの奇蹟をおこす泉が物語要素に組み込まれており、そこに人々の巡礼や宗教行列が生まれる。やがて、礼拝堂が建立され、これを後押しする司祭が登場する。

カトリックにおける救済は、罪に墜ちたアダムの子として原罪をかかえた人間を、神との和解に導くことである。しかし、被造物である人間には、その努力だけによってこれを実現することがで� ��ない。神の子イエス・キリストの受肉は、そうした罪深い人間を救済するための神の恩寵であり、キリストの誕生、死、復活は神の救済計画である。

6.プロテスタントと信仰

プロテスタント・キリスト教は十六世紀のドイツにおけるマルティン・ルターの宗教改革をもって始まる。
ルターは、教会贖宥状(免罪符とも言い、これを購入すると罪の軽減が受けられるとされた)発売に抗議して「九十五箇条の提題」を教会の扉に貼りだした。教皇は破門を宣言した。

三大原理

  • 信仰のみ−人が救われるのはただイエス・キリストを信じる信仰による。
  • 聖書のみ−聖書のみが教会ち信仰者の規範である。
  • 万人祭司−すべての信徒は潜在的には聖職者であり、神は信仰の有無以外には人間を区別することはない。

スイスのウルリヒ・ツヴィングリは聖餐においてパンがキリストの肉体に変化することを否定した。
ジャン・カルヴァンは「神の栄光のため」に徹底した神中心主義をとり、教会規則により、市民の生活を厳格に律した。

7.イスラームと共同体

イスラームは、神の唯一性の考えを基礎にして、人間の生き方全体を統合しようとする宗教である。

神の唯一性
西暦七世紀初め、アラビア半島の商業都市メッカのムハマンドに神の言葉が啓示されることで現れる。人間が、衣食住の可能な世界に創造され生きていることを初めとして、みな神の恵みによるのであり、神が人間に最高の福利や善を施していることは自明である。それ故、人間は常に神に感謝しなければならず、その感謝は、神が何を命じているか正しく理解し、それに誠実に応答することで表現される。予言者ムハマンドの没後、この神の言葉が編纂されクルアーン(コーラン)という啓典が成立した。範例はその後ハディース(言行録)のかたちで集成された。

聖法−ムスリムの行動指針
ムスリムが従うべき行動の指針は、シャリーア(イスラーム法、聖法)に体現している。

  1. 信仰告白
    「神のほかにはいかなる神的存在も無く、ムハマンドは神の使徒である」という言葉を唱えること。
  2. 礼拝
    一日五回、日の出前、正午過ぎ、午後、日没後、夜間の決められた時間に、メッカの方角に向かって礼拝を行う。特に、金曜日の昼の礼拝は、その地の大きなモスク(礼拝堂)に集まり行う。
  3. 断食
    イスラーム暦の第九月(ラマダーン月)の一ヶ月間、日の出から日没まで一切の飲食を断つ。唾を飲み込んでもいけない。日没後は、ご馳走を食べ親戚友人を訪ね合い、夜半過ぎまで街は賑わう。
  4. 救貧税(喜捨)
    所有する金銭、家畜、穀物に対して、一定の割合で納めなければならない。
  5. 巡礼
    イスラーム暦第二月の8、9、10の三日間を中心に行われるメッカへの巡礼。木綿の巡礼着を着用し、8日にはカアバ聖殿を七回巡ること。サファーとマルワの丘の間を七度往復すること。翌日はアラファートの野で昼の礼拝、次いでムズダリファで夜の礼拝をすること。9日にはミナーの谷に戻り、イスマーイールが悪魔を退治させた故事にならって、三本の柱に石を投げること。最後に、羊や駱駝を犠牲に捧げること。

スンニー派とシーア派
予言者ムハマンドの没後、後継者(カリフまたはイマーム)選びによる不満から、スンニー派とシーア派が生まれた。


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  • スンニー・イマーム(カリフ)論
    後継者は、イスラーム世界を外敵から防衛し、内にはイスラーム法を施行できるかどうかという現実的な能力が重視される。カリフは超自然的な能力を持つ支配者とは考えられていない。
  • シーア・イマーム論
    予言者の子孫のみが共同体の統率者になる資格があるとする。イマームは神と信者との間の仲介者であり、信者はイマームなしには神を知ることができず、さらにはイマームが存在しなければこの世界も滅んでしまうとまで言う。

イスラーム復興運動
ムスリムがムスリムとして生きていくためには、シャリーア(イスラーム法)によって守られた社会が必要であり、そのために、シャリーアが適用されているのか、いないのかがその社会のイスラーム性を計る基準となる。そう考えると、このイスラーム世界の現状はイスラーム法が十分に実施されているとは言えなくなる。これは、イスラーム法を社会の中に実現しなくてはならないカリフの代理者であるはずの為政者が、その義務を果たしていないことの証拠であり、為政者がその義務を果たしていないのは不信仰であり、このような者は排除すべきであると判断されることになるのである。このようにして、イスラーム復興運動はしばしば反政府的な政治的急進主義の様相を帯びるのである。王政を打倒� ��てイスラーム革命(イラン革命)を行い、ウラマーが直接政治に関与する政治体制を創出したイランの例はこの復興運動の試みの一つの答えである。

8.アフリカの宗教

アフリカには千以上に民族が存在し、それぞれが独自の宗教体系を発展させてきた。 民俗宗教の信者は、1900年の段階で、黒人アフリカの総人口の75%を占めていたが、1975年の時点では20%にまで低下し、代わりにキリスト教(51%)とイスラーム(30%)が躍進を遂げている。
アフリカの仮面や神話や音楽は、その広大な土地から生まれたものであり、そこで営まれる人々の生活と密接に結びついている。アフリカでは、仮面や音楽は彼らの宗教生活と切り離すことはできず、それを制作するのも特定の芸術家ではなく、一般の人々である。それ故、これらの文化が、どのような背景から生まれ、人々の生活の中でどのように生きてきたかを理解するためにも、彼らの宗教を理解することが必要となる。

黒人アフリカ民族宗教の特徴として、以下の点が挙げられる。

  • 繰り返し行われる儀礼がその中心にある。
  • 儀礼と神話は密接に関係しあっており、神話は成人式や仮面の集会などの機会に伝達される。
  • 個々の儀礼は特定の祭壇でのみ行われるので、地縁に深く結びついている。
  • 儀礼の行われる村は生命と湿り気にあふれた空間とされ、外部の空間は危険や乾燥に満ちた不毛な大地とみなされる。
  • 祖先祭祀が発達しており、祖先を核とする親族集団が社会組織の中心にある。
  • その土地に最も早く住み着いた集団が「土地の主」や「水の主」と呼ばれ、儀礼執行の権利を有している。
  • 村や親族集団など、儀礼を共有する集団同士の連帯が高い一方で、それを越えた永続的な関係は作られにくい。

十世紀頃から、アラブ商人が、交易のためアフリカに入ってくると、イスラームが拡がっていった。十九世紀になり、ヨーロッパ列強の支配が本格化すると、学校教育でキリスト教を広めた。ただし、アフリカに拡がったイスラーム教、キリスト教は、本来のものとは異なる彼ら独自の形態を持つ場合が多い。

9.中南米の宗教運動

10.ブッダとその教えの弘通

大乗仏教の成立
成立は紀元前後から二世紀の間と言われている。


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経典の成立時期
初期(紀元前後から二世紀まで)  般若経、法華経、華厳経、維摩経、浄土経典など
中期(二世紀以降)  涅槃経、勝鬘経 解深密経、楞伽経など
後期(七世紀以降)  大日経、金剛頂経など密教系経典
大乗仏教の特色
大乗仏教 上座仏教(小乗仏教)
利他の教え 自利の教え
成仏の教え 弟子仏教
理想的神話的存在としてのブッダ 歴史的存在としてのブッダ
菩薩(自らがブッダになる可能性をもつ) (ブッダは導師、そしてその教えを守る)
在家仏教 出家仏教
仏中心 法中心
信と行の宗教 行の宗教
民衆の大衆運動 国王、藩候、資産家の援助
慈悲に基づく「利他行」の宗教運動 教理研究
誤解を避けるためにあえて言うと、現実の仏教圏世界の中で、一方の原始仏教ないし上座仏教と他方の大乗仏教の間に、正統や異端の激しい争いがあったわけではない。

11.中国の宗教

中国における所謂民族宗教といえるものとして紀元前二世紀頃発生した道教がある。また、紀元前一世紀にインドより渡来した仏教は中国の社会・宗教思想に深刻な影響を与え、ゾロアスター教、マニ教、景教、イスラーム教、キリスト教なども影響を与えた。
中国では、神々の意志は、一方的に自然や人間界の中に現れるのではなく、人間の行為のあり方が天地の状態が反映すると信じられていた。道徳的な行為を通して、人間は宇宙の創造に参加し、その運動に対し必須の責任を負うとされていたのである。
中国のパンテオンの原像 は祖先神と自然神の二つを柱とし、両者が至上神たる上帝により統合されるような構成を持っていた。
人は自らのうちに内在する「天」の聖性を自覚し、日常生活の中で、学習と実践を通して常にそれを啓発することにより、文化的に完全な「人」にならなければならないというのが、儒家が人生に与えた宗教的意味であった。中国においては、人間存在を意味づける究極的な存在が、外在的「神」ではなく、自己の内に内在しており、自己の主体的努力を通して人が聖性に参加する可能性が認められていたのである。

ゾロアスター教紀元前六世紀前半にゾロアスターがイランで創始した宗教。
光明の神アフラ・マズラと暗黒の神アーリマンの対決による二元論的世界観を持つ。
マニ教マニがイランで創始した宗教。善悪二元論を徹底した。
景教ネストリウス派キリスト教。キリストの人生を強調した。
天主教カトリック。

12.シンクレティズム−神仏習合・重層信仰

宗教学では、異なる宗教が接触し、交わり、融合した状態をシンクレティズムと呼ぶ。
シンクレティズムは大きく二通りに分類できる。南アジアの国々では、一つの支配的な宗教が様々な土着的な信仰や社会慣習や通過儀礼を包み込んでいるが、東アジアの国々では、複数の宗教が共存している。

古代における神々と仏の習合
仏教と神道の交渉の例として、神すらも、僧侶にお経を読んでくれるように頼んで、仏教の救いに助けられるという話しがある。
仏教の天台宗と真言宗も密教的な修行の執行を重んじたが、山林修行の効果が大きかった。また、以前から山岳に住んでいた神々を護法神、地主神として手篤く祀った。守護神を仏菩薩の化身であるという本地垂迹説や、仏菩薩が仮に現れた姿という権化思想により、仏菩薩と神が一体化して考えられるようになっていった。

シャーマニズム文化
シャーマンとは、神や霊魂を憑依させ、霊的世界と直接に接触することで、占いや治病などを行う宗教者のことで、シャーマンを中心にする宗教現象をシャーマニズムという。

修験道
修験者すなわち山伏が山林修行によって呪力を獲得し、祈祷や占い儀礼を行うことを修験道という。かつては、山伏が活躍していたが、明治五年に修験道廃止令が出されて、それ以降はその活動は消えていった。

託宣する神−八幡と天神
日本の神は、目に見えない存在だった。神が自らの意志を伝えるためには憑依し託宣しなければならなかった。

神仏分離令
明治元年の神仏分離令、明治三年の天社神道(陰陽道)廃止、明治五年の修験道廃止令、明治六年のシャーマン的宗教者の禁止の法令が出される。明治政府は、仏教と神道を分離しようとするとともに、民衆のシャーマニズム文化を抑圧しようとした。こうして、国家神道の形成の素地が作られていった。

仏壇と神棚の所有率
仏壇、神棚両方持っている45%
仏壇のみ持っている16%
神棚のみ持っている15%
どちらも持っていない24%

13.現代の日本の宗教状況

日本人が自覚的に信仰ありとする割合はおよそ三割である。
日本の宗教人口や宗教法人数を知るための基本的な文献として文化庁が毎年刊行している「宗教年鑑」がある。これによれば、


信者数
神道系1億1838万人
仏教系  8903万人
キリスト系   150万人
諸教   115万人
2億2079万人
宗教法人数
神道系  8万6千
仏教系  7万8千
 18万3千

日本人の大半は「信仰」という堅いイメージよりは、初詣、お盆、お彼岸、七五三、結婚式、葬儀や法事など、季節や人生の節目節目に神社やお寺と関わりをもってきた。ちなみに、著名社寺への初詣者数は8300万人以上(平成6年)である。七五三は、11月15日に五才の男児、3才と7才の女児が神社に詣でる。

14.新宗教と現代文化

新宗教教団一覧
第一期 如来教 一尊如来きの 
黒住教 黒住宗忠 
天理教 中山みき
金光教 金光大神
本門仏立宗 長松日扇
丸山教 伊藤六郎兵衛
第二期 大本 出口なお、出口王仁三郎
中山身語正宗 木原松太郎
ほんみち 大西愛治郎
第三期 円応教 深田千代子
念法真教 小倉霊現
霊友会 久保角太郎、小谷喜美
パーフェクト・リバティー 御木徳一、御木徳近
生長の家 谷口雅春
創価学会 牧口常三郎
日蓮正宗 戸田城聖
世界救世教 岡田茂吉
真如苑 伊藤真乗
孝道教団 岡野正道
立正佼成会 長沼妙仏、庭野日敬
仏所護念会教団 関口嘉一、関口トミノ
天照皇大神宮教 北村さよ
善隣教 力久辰斎
妙智会教団 宮本みつ
第四期 大山祗命神示教会 稲飯定雄
白光真宏会 五井昌久
阿含宗 桐山靖雄
霊派の光教会 波瀬善雄
浄土真宗親鸞会 高森顕徹
世界基督教統一神霊協会 文鮮明
世界真光文明教団 岡田光玉
崇教真光
 
ほんぶしん 大西玉
ジー・エル・エー総合本部
 
神慈秀明会 小山美秀子
日本聖道教団 岩崎照皇
ESP科学研究所 石井普雄
法の華三法行 福永決源
日本ラエリアン・ムーブメント クロード・B・ラエル
大和之宮 安食天恵
オウム真理教 麻原彰晃
コスモメイト 深見青山
幸福の科学 大川隆法
宗教年鑑

歴史宗教との違い
伝統的な仏教教団やキリスト教会では、聖職者と一般人との間の役割の区別がはっきりとしており、一般信徒には教義の学習や修行の機会はあまり与えられていない。また、死後の救いを目指す現世否定・来世救済の傾向が強い。
新宗教では、一般人が積極的に参加できる信仰活動の場が用意されている。そこで主題となることも、一般人の日常生活に密着した事柄である。多くの信徒が積極的に信仰活動に参加し、仲間づくりを目指すわけだから、当然のこととして集団の結束が強くなる。また、現世で幸福な生活を実現することがそのまま救いだと信じられる。

新霊性運動
特定の教義を教え込まれたり、それに黙従したりしなければならない押しつけの宗教ではなく、個々人が自分らしい生き方を探り、自己発見していくのを助けるような何かがあれば、その方が望ましいのではないか。二十世紀終わりになって、こうした考え方が強まってきた。欧米では、ニューエイジ運動、日本では、精神世界の運動として知られている。
彼らは、「宗教」という言葉を好まない。外からの強制によってではなく、個々人がそれぞれ本来もっているはずの「霊性」を育てて行くべきだと考える。近代文明は、理性と合理主義を偏重して、霊性や霊性の基礎となる感性をおろそかにしてきた。また、近代文明だけでなく、過去の文明を支えてきたキリスト教えを中心とする諸宗教も霊性の抑圧に貢献� �てきた。現代は、人類が「宗教」から脱却する大きな転機にあたっている。地球上で今「意識の進化」が起こっており、近代の科学文明やそれに先立つ世界宗教の文明が過去のものとなりつつある。自分たちはこの巨大な動きの中にいる。個々人が体験する「意識の変容」は、その一部をなすものだと考える。

新霊性運動の分類


瞑想 禅、チベット仏教、ヨーガ、TM=超越瞑想
ネオ・シャーマニズム アメリカ先住民の伝統による実践
ネオ・ペイガニズム 非キリスト教的伝統による実践(魔女の宗教など)
チャネリング 非地球人意識存在(エンティティー)あるいは過去世の霊との交信により、チャネラーが、人々の悩みや疑問に答えたり、 自己探求・自己実現の生き方を説いたりする。
シャーリー・マクレーン 著「アウト・オン・ア・リム」
超常現象研究 UFO、ETIとの接触、待望運動など、死後の生命、テレパシー、予知
癒しの諸技法 気功、レイキ、水晶、マクロビオティック、心と体が一体不離、中国医学
トランス・パーソナル心理学 高次の意識状態を志向する心理学、
個人の意識を越えた涅りの境地
岡野守也 著「トランス・パーソナル心理学」
自己啓発セミナー 様々な心理療法の実践
ホリスティック医療 心と体を一体のものとしてとらえる医療、従来医療への不満
ニュー・サイエンス 科学と霊性の一致をめざす運動、
近代の物質と霊的の統一を目指す科学

15.ナショナリズムと宗教

欧米をはじめとする先進諸国や日本では、信教の自由が保障され、政教分離が制度化され、宗教は私的な領域に位置づけられている。
もと植民地で独立運動をしたインドのネルー、エジプトのナセル、中国の毛沢東らは、国家を成立させ、近代化を達成するにあたって、脱宗教によるナショナリズムの振興をはかった。しかし、世俗的ナショナリズムの概念は、ヨーロッパ固有のものであり、キリスト教を母体とし発生したものである。かつては、世俗的ナショナリズムを未来の潮流として受け入れてきた人々も、自分たちにはなじまないという見方をするようになっている。
今日の世界を揺り動かしている宗教的な政治運動は、反西欧的反世俗的な宗教的ナショナリズムを理念としている。伝統的宗教が、これらに染まった自国 政府を攻撃している。
そして、1979年にイランのイスラーム革命が起こった。これにより、イランの宗教的ナショナリズムは、宗教と国民国家を結んだのである。シャーは、世俗的ナショナリズムから近代国家を目指していたが、ホメイニーは、宗教的ナショナリズムから近代国家を目指したのである。現在でも、インドにおける戦闘的なシーク教徒とヒンズー教徒の対立、スリランカにおけるシンハラ仏教の攻撃などが起こっている
彼らの多くは、宗教と政治の間には明確な区別はないし、両者の区別そのものが西欧的な思考方式の徴だと主張する。本質的に、宗教的であるとともに政治的であるべき社会が、世俗的な政治によって支配されていることが誤りの根源であると考えているのである。


参考文献
 阿部美哉 編著、「世界の宗教」、放送大学教材 '95

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