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当院が考えるホスピスとは・・・
ホスピスは、治療困難な患者様が、"生"を全うできるように援助する施設です。
がんを主とした治療困難な患者様が、その人らしい"生"を全うできるように援助するところです。そのためにホスピスでは、まず、患者様の苦痛をできる限り軽減できるように努力しています。また、十分に話し合って患者様のあらゆる必要に応え、ご家族へのケアも大切であると考えています。
ホスピスの歴史
【ホスピスの起源】
ホスピスの語源は、中世ヨーロッパにまでさかのぼります。ホスピスはもともと、キリスト教の聖地エルサレムを訪れる巡礼者達が旅の途中で病気や疲労で倒れたとき、当時の修道院が一夜の宿や食事を提供する場所でした。その後、ホスピスは歴史的変遷の中でハンセン病や結核の患者など、手を差しのべる対象を変えてきました。
【近代ホスピスの歴史】
19世紀に、アイルランドのダブリン市の修道尼メアリー・アイケンヘッドによって、病気を治すためだけではなく、病人に慰めと安らぎを与えるために、小さな静かな家が建てられました。20世紀初めにアイルランドの修道尼たちはイギリスに渡り、ロンドン東部の貧しい地域で小さな家を拠点にして、寝たきりで死を迎えようとしている人々の家庭を訪問し始めました。そして、1905年にイギリスで最も古いセント・ジョセフ・ホスピスが誕生しました。そのホスピスで学んだシシリー・ソンダース博士は、ホスピスの医学的側面を近代化し、1967年に近代ホスピス発祥と言われるセント・クリストファー・ホスピスをロンドン郊外に設立しました。その流れを受けて、世界各国にホスピスの働きが広がりました。
【日本のホスピスの歴史】
様々ながんの痛み、苦しみを持つ患者に対し医師、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種のスタッフがチームを組んでケアするOCDP(The Organized Care of the Dying Patient、死にゆく患者への組織的ケア) をアメリカで学んだ柏木哲夫医師を中心に、1973年淀川キリスト教病院でOCDPが始まりました。特定の建物や病棟はありませんでしたが、これがわが国の一般病棟におけるホスピス活動の始まりでした。施設としては1981年聖隷三方原病院がわが国初のホスピスで、院内独立型の「聖隷ホスピス」を開設しました。1984年淀川キリスト教病院ホスピスがわが国初の院内病棟型として開設され、1993年ピースハウスホスピスがわが国初の独立型ホスピスとして開設されました。1990年ホスピス・緩和ケア病棟に対し医療保険から定額の医療費が支払われる制度が新設され、その当時全国で5箇所のみであったホスピス・緩和ケア病棟は飛躍的に増加し、2007年には150箇所以上となっています。またそのような入院施設を持たず訪問診療専門の在宅ホスピ� �、有床診療所でのホスピスケアなど、地域に根ざした新たなホスピス活動も広がっています。
大恐慌が戦った場所
淀川キリスト教病院ホスピスでの実践
淀川キリスト教病院ホスピスでは、がんを主とした治療困難な患者さまが、その人らしい"生"を全うできるように援助しています。そのためにホスピスでは、まず患者さまの苦痛をできるだけ軽減するように努力しています。また、十分に話し合って患者さまのあらゆる必要に答えご家族へのケアも大切であると考えています。
たとえcure(治癒)は困難であっても、care(ケア)することはできると考え、延命に重きを置くのではなく、その人のQOL(Quality of Life・生活の質)が高められて、残された日々を送ることが大切であると考えています。その実践のために淀川キリスト教病院ホスピスでは、症状マネジメント、コミュニケーション、ご家族へのケア、チーム医療を柱として、個々の患者さまを医学的な診断のみならず、全人的にとらえるように取り組んでいます。
【症状マネジメント】
<全人的苦痛>
がん患者さまは身体的な痛みだけでなく、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛を持ち、それらが互いに影響した全人的苦痛(total pain)を持つことをまず理解するようにしています。そして患者さまの病気に焦点を合わせるのではなく、患者さまは病気を持った人間であると捉える視点が重要と考えています。患者さまが辛いことは何か積極的に尋ね、全人的苦痛を理解し、それをできる限り緩和するよう積極的に取り組んでいます。
<身体的苦痛>
身体的な痛みに対しては、がん患者さまの70%以上が経験される痛みの緩和を、モルヒネを主体とする疼痛のコントロール方法であるWHO(世界保健機関)方式癌疼痛治療を基本として行っています。その他全身倦怠感や食欲不振を多くの患者さまが経験されますが、それらの症状緩和に対し副腎皮質ステロイドが有効であり、症状に応じて投与し症状が軽減するように努めています。治療をパターン化して考えるのではなく、本人やご家族の希望に沿うようよく相談し、苦痛緩和やQOLの改善につながるようにしています。
<精神的苦痛>
精神的苦痛に対しては、まずベットサイドでしっかりと患者さまの訴えを聴くようにしています。薬剤治療だけではなく、スタッフがお世話させていただく中で信頼関係を築き、環境を整えることで安心して過ごしていただけるように努めています。
<スピリチュアルな苦痛>
スピリチュアルな苦痛とは、がんなどの重い病気になるなどの厳しい状況で、自分を支えていた意味や価値が脅かされることにより経験する全存在的苦痛と言われています。多くの方が経験され、感情的、哲学的、宗教的問題が顕著になることがあります。スタッフが患者さまの価値観を尊重し、そのような苦痛を理解しながら患者さまと接するように心掛けています。希望に応じてチャプレン(病院付牧師)を紹介し、宗教的な必要やカウンセリングにも対応するようにしています。
【コミュニケーション】
患者さまと家族の訴えに十分耳を傾けて、適切に応えることが大切であると考えています。スタッフと患者さまのコミュニケーションだけではなく、家族やスタッフ相互間のコミュニケーションも大切にしています。患者さまが病状についてどの程度知っているか、またどのように考えているかを実際に尋ねて明確にするようにしています。その上でどの程度病状について知りたいと思っておられるかの希望に沿うようにしています。
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【ご家族へのケア】
ご家族の気持ちを十分にお聴きして、情報や感情を分かち合い、一方的な説明にならないようにしています。現在の病状と将来予想される病状をお伝えし、最善の方法を一緒に考えていくようにしています。患者さまにご家族が寄り添い、一緒にお世話できるように心がけています。
【チーム医療】
医師、看護師、ソーシャルワーカーなど多職種のスタッフ間のコミュニケーションを大切にしています。チームでカンファレンスを頻回に行い、患者さまやご家族にとって最善のケアがタイミングよく提供できるように努めています。
また在宅療養も積極的に勧めております。入院された患者さまの症状緩和を積極的に迅速に行い、症状が落ち着かれて可能であればご自宅へ退院していただき、外来診療を行っています。在宅でもホスピスケアが継続して行えるように専門の訪問看護師とも協力しています。通院が難しい場合でも、必要であれば開業医の先生と連携して訪問診療を行っていく場合もあります。
【ホスピスの働き ~七つのキーワード H・O・S・P・I・C・E~】
"H" hospitality ホスピタリティー ~親切なもてなし~
ホスピスの本質的な働きは患者さまとご家族をもてなすことです。ハード面である建物や病室などの環境、ソフト面であるスタッフの働き、その両面で患者さまが明るさ、広さ、静かさ、温かさを感じ、十分なもてなしと癒しが提供できるようにすることが大切であると考えています。
"O" organized care オーガナイズド・ケア ~組織的なケア~
チームアプローチとも呼ばれ、一人の患者さまに対して医師、看護師、ソーシャルワーカー、宗教家、その他のスタッフがチームを組んでケアを行うことです。多職種のスタッフが協力することで、患者さまのトータルな状態を総合的に判断し、多くの必要を満たすことができるようになります。また専門職がそれぞれの本来の任務を遂行し、方針の一致したケアが行えるようになります。
"S" symptom control シンプトン・コントロール ~症状をコントロールする~
ホスピスケアの働きの中でも最も重要視すべき働きであると考えています。がんの患者さまが訴える不快な症状を緩和することは、その人らしく過ごしていただきQOLを高めるために大切です。特にがん患者さまの痛みは、身体的痛み、精神的痛み、社会的痛み、スピリチュアルな痛みが複雑に絡み合った全人的な痛みとされています。モルヒネを主体とする疼痛のコントロール方法であるWHO(世界保健機関)方式癌疼痛治療を基本として身体的痛みを軽減することのみならず、他の身体症状の軽減を積極的に行い、同時に全人的な痛みも軽減するようにケアを行っていく必要が症状コントロールには必要です。
"P" psychological support サイコロジカル・サポート ~精神的な支え~
さびしさ、ゆううつ、不安、いらだちなどの精神的な痛みを多くの患者さまが訴えられます。ベットサイドで患者さまの感情に焦点をあててしっかりと患者さまの訴えを聴くことが大切です。スタッフがお世話させていただく中で信頼関係を築き、環境を整え、必要に応じて薬剤投与を行い、安心して過ごせるようにしていくことが必要となります。
なぜsihran sihranは、ロバート·ケネディの撮影でした
"I" individualized care インディビジュアライズド・ケア ~個別性の尊重~
その人らしく過ごしていただくために、その人それぞれに合わせたケアを行い、個別性を尊重していくことが大切と考えています。その人自身が必要とする望みを実現することは、患者さまにとってもご家族にとっても大切なことで、それが実現できるようにお手伝いさせていただくことも大切なホスピスの働きです。
"C" communication コミュニケーション
患者さまと家族の訴えに十分耳を傾けて、適切に応えることが大切であると考えています。スタッフと患者さまのコミュニケーションだけではなく、家族やスタッフ相互間のコミュニケーションも大切です。患者さまが病状についてどの程度知っているか、またどのように考えているかを実際に尋ねて明確にし、その上でどの程度病状について知りたいと思っておられるかの希望に沿うようにすることが大切であると考えています。
"E" education エデュケーション ~教育~
多くの人にホスピス・緩和ケアを提供するためには、それを担う医療者が増えていくことが必要であり、医師や看護師に研修の場を提供することが必要であると考えています。また生涯教育や義務教育にも緩和ケアの講義を取り入れるなど、一般社会の中でホスピスについて学ぶ機会を増やしていくことも大切であると考えています。
ホスピス・緩和ケアの定義(日本ホスピス緩和ケア協会ホームページより)
【WHO(世界保健機関)の緩和ケアの定義(2002年)】
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである。
緩和ケアは
・ 痛みやその他の苦痛な症状から解放する
・ 生命を尊重し、死を自然の過程と認める
・ 死を早めたり、引き延ばしたりしない
・ 患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する
・ 死を迎えるまで患者が人生を積極的に生きてゆけるように支える
・ 家族が患者の病気や死別後の生活に適応できるように支える
・ 患者と家族-死別後のカウンセリングを含む-のニーズを満たすためにチームアプローチを適用する
・ QOLを高めて、病気の過程に良い影響を与える
・ 病気の早い段階にも適用する
・ 延命を目指すそのほかの治療-化学療法、放射線療法-とも結びつく
・ 臨床的な不快な合併症の理解とその対応の推進に必要な諸研究を含んでいる
【日本ホスピス緩和ケア協会におけるホスピス緩和ケアの基準(2009年5月)】
この基準は、自宅や施設でホスピス緩和ケアを受ける患者・家族とケアを提供する専門職とボランティアが共通の理解を得るための拠り所として作成した。
1. ホスピス緩和ケアの理念
ホスピス緩和ケアは、生命を脅かす疾患に直面する患者とその家族のQOL(人生と生活の質)の改善を目的とし、様々な専門職とボランティアがチームとして提供するケアである。
2. ホスピス緩和ケアの基本方針
○痛みやその他の苦痛となる症状を緩和する。
○生命を尊重し、死を自然なことと認める。
○無理な延命や意図的に死を招くことをしない。
○最期まで患者がその人らしく生きてゆけるように支える。
○患者が療養しているときから死別した後にいたるまで、家族が様々な困難に対処できるように支える。
○病気の早い段階から適用し、積極的な治療に伴って生ずる苦痛にも対処する。
○患者と家族のQOLを高めて、病状に良い影響を与える。
3. ホスピス緩和ケアを提供する形態
1)ホスピス・緩和ケア病棟
2)緩和ケアチーム
3)専門外来
4)訪問診療、訪問看護、訪問介護、ディケアなど在宅療養を支援するサービス
※「在宅療養」とは、自宅以外の居宅系施設における療養も含む
4. ホスピス緩和ケアを受けるための条件
1)悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群(AIDS)などに罹患し、ホスピス緩和ケアを必要とする患者を対象とする。
2)患者と家族、またはその何れかがホスピス緩和ケアを望んでいることを原則とする。
3)ホスピス緩和ケアの提供時に患者が病名・病状について理解していることが望ましい。もし、理解していない場合、患者の求めに応じて適切に病名・病状の説明をする。
4)家族がいないこと、収入が乏しいこと、特定の宗教を信仰していることなど、社会的、経済的、宗教的な理由で差別はしない。
5. ホスピス緩和ケアで提供するケアと治療
1)提供するケアと治療は、患者あるいは家族の求めに応じて相談の上で計画・立案する。
2)ケアや症状緩和のための治療に関して、かならずインフォームドコンセントを得る。
3)痛みなど苦痛となる症状は、適切なケアと治療で緩和する。
4)提供したケアと治療については、適切に記録する。
5)症状緩和を行った上で患者と家族がもつ身体的・精神的・社会的・スピリチュアルなニーズ(要求)を確かめて、誠実に対応する。
6)患者との死別前から家族や患者にとって大切な人へのケアを提供するように計画を立てる。
7)家族が患者と死別した後、強い悲しみのために日常生活が普通に送れない状態になった場合、適切な医療の専門家を紹介する。
6. ホスピス緩和ケアを提供するチーム
1)ここでいうチームは、ホスピス緩和ケアを提供する場所の如何にかかわらず患者と家族を中心として医師、看護師、 ソーシャルワーカーなどの専門職とボランティアで構成されるものを指す。
2)チームの構成員は、それぞれの役割を尊重し、対等な立場で意見交換をする。そして、ホスピス緩和ケアの目的と理念を共有し、互いに支え合う。
3)チームの構成員は、教育カリキュラムに基づいた計画的なプログラムのもとで研修を受ける。そして、継続評価によってチームとして成長が図られるようにする。
7.
1)ボランティアはチームの一員であり、大切なケアの提供者である。
2)ボランティアは自由意思によって、チームに参加する。そして、チームにおける役割を明確にした上で応分の責任を果たす。
8. ケアの質の評価と改善について
1)チームは提供したケアと治療およびチームのあり方について、継続的かつ包括的に評価して見直しを行う。
2)評価と見直しは、「ホスピス緩和ケア評価指針」に基づいて、チームとして自主的に行う。
3)当協会に設けられる評価委員会は、「ホスピス緩和ケア評価指針」による自主的評価の結果に基づいて、ケアの質を向上させるための働きかけを行う。
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